一度は聞いたことがありませんか?
トレーニングは身体を鍛えることを指し、健康増進として、趣味として、或いはスポーツにおけるパフォーマンス改善の手段として行われています。
トレーニングについて興味のある方の中には、鍛える部位に意識を向けることでより高いトレーニング効果が得られるという話を一度は聞いたことがあるのではないでしょうか。
「同じように動かしているのだから、一緒でしょ。」「要するに一生懸命やればいいの。」
と言う声も聞こえてきそうですが、そんな方は以下のメカニズムを理解することで、これまでの運動の効果を最大限まで高めることができるでしょう。
なぜ?-脳と筋活動-
筋肉は、脳から神経線維を通して電気信号を受け、「収縮」という動きをしています。
この収縮が起きるには、ある一定の閾値までの強い刺激が筋肉に与えられる必要があると言われています。
そのために、脳からは瞬間的に繰り返し、且つ複数の脳細胞から電気信号を送ることで、閾値までの強い刺激を筋肉に与えているのです。
このようにして、脳からの刺激で筋肉に収縮が生じます。
しかし、筋線維毎にこの閾値は異なり、一度にすべての筋線維を使えるわけではありません。
例えば、「火事場の馬鹿力」を想像してほしい。
これは、普段は脳が筋肉の活動に制限をかけ、筋肉が傷つかないよう制御していますが、興奮状態になるとその制限が解け、普段の力よりも大きな力が出るという説です。
言い換えれば、動かそうとする筋肉に関係のある脳細胞の興奮をより高めることで、脳の制限を完全ではなくとも外すことができるということです。
ここで、一つ実験をしてみましょう。
握力の違いを感じてみましょう。
手順1:利き手で反対の腕をガシッと掴んで下さい。
手順2:目を閉じるか、視線を手から離します。
手順3:手を見ないままで、思い切り握ってみます。
手順4:手を緩めても良いが離さず、次は手をじっと見ながら思い切り握りましょう。
どちらが強く握れましたか?
手を見て握った方が力が入りやすい方が大半だと思います。
これは、運動を目で見ることで、視覚刺激が運動に関わる脳細胞の活動を促進し、筋肉への電気信号を増やしたことで、筋力が強く発揮されたということになります。
また、必ずしも目だけでなく、触った刺激や、音の刺激によっても同様の効果が発揮されます。
なぜ?-筋活動と筋力増強効果-
筋肉増強運動においては、過負荷の原則というものが存在します。
それは、筋肉を肥大させるには普段よりも強い強度のトレーニングを行わないといけないというものです。
具体的に言うと最大筋力の80%の強度で10回を3~6セット(インターバル1分以内)で行うと良いとされています。
つまり、低負荷高頻度では有意な筋肥大は得られないのです。
目などの情報入力による筋活動の促進により、より高い強度の運動を行うことができ、トレーニング部位に過負荷を与えることができるため、トレーニング効果が高まるといえます。