歩くのに大きな力がいらない意外な理由

歩くことをお話する前に、

 

運動を制御する要となる筋肉について触れておきたいと思います。

 

筋肉はゴムと同様に、伸ばされると縮もうとする性質があります。 

例えば、机の上で手のひらを下にして置き、中指を上にぎゅーっと持ち上げてから離すと自然と跳ね返るように指が机に打ち付けられます。

 

これを、弾性(ELASTICITY)と呼び、

 

物体に外から力を加えれば変形し、その力を取り除けば元の形に戻ろうとする性質を意味します。

 

 

人は、日常生活やスポーツの動きのあらゆる場面で、この性質を無意識的に使って効率的に、且つ場合によっては爆発的な力を生み出しています。

 

分かりやすい例として、ジャンプの動きがあります。


通常、ジャンプするときはしゃがんでから跳びます。 

なぜわざわざしゃがむのかというと、跳ぶために必要な臀部、太腿の前部、ふくらはぎの筋肉をいったんしゃがんでグッと伸ばして

その反動を使っているのです。

 

 

より深くイメージされている方にはまだこんな疑問が残るかもしれません。

「指で例えてあった弾性を使うとしたら、筋肉が伸びる位置までもってくるだけでいいのかもしれない。ですが、ジャンプの動きを、ただしゃがんだ姿勢で止まって、そして跳ぶというゆっくりとした動きでは同じ高さまでは跳躍できません。」

 

これは、全くその通りです。

 

人の動きは、構造的な弾性の力に頼っているのではなく、実際には神経作用が組み合わさっています。

 

経験のある方は想像しやすいかもしれませんが、脚気の検査の際に、膝の下を検査器具で叩いて、 膝がぴくっと跳ねて伸びる現象。

 

これは、腱を叩かれた刺激で筋肉が急激に伸ばされたと感知したことで筋肉が収縮するという神経による反射を診ています。

 

この弾性力と反射をうまく使うには、動きに速度を伴わせることがとっっても大事なのです。

 

速度を伴うから反動が使える。

 

それが、ジャンプでの跳躍力の疑問の答えです。

 

 

さて、話は逸れましたが、今回の主題に戻ろうと思います。

 

先ほど、日常生活でも使っていますと言いました。

 

それが、歩行です。

  

考えてみてください。

 

病気になる前の元気なときになぜ歩くことが無意識的にできていたでしょう?なぜあんなに楽に動けていたのでしょう。

反対になぜ脳卒中後の身体ではこんなに疲れやすいのでしょうか?

 

その疑問の鍵は、

この反動をうまく使えているかどうか、です。

  

では、歩き動きのどんなときかというと、、、 

 

脚を振り出すとき です。

 

人が歩く姿を想像し、特に太ももに着目しましょう。

 

左右の脚が交互に前後運動をしていますが、脚を浮かして前方に振り出す前には、必ず後方で身体を支えています。(図の後ろ脚)

 

体重移動によって自然と太ももが後方に位置することで反動のエネルギーを溜める。

 

細かく言うと、骨盤ではなく、股関節を軸に太ももが後方に十分に引っ張られることで腿を前に押し出す反動の力が股関節に充填されるのです。

 

あとはその力を開放するために、体重をかけていた後ろ脚から、ちょうど地面に着いた前脚へとスムーズに体重を移動し、腿を挙げる力を少し添えれば膝は押し出される

 

それが人が歩く時の本来のメカニズムです。 

脚を必死に持ち上げて足を前に送るというイメージは、一度取り去ってください。

 

楽に距離を歩く、早く歩くという実用的な歩きを求めるのであればこそ、是非習得してほしい動き方です。

 

また力が要らない理由を

無動力で歩くロボット研究が証明しています。

 

次の記事でご紹介致します。

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