痙縮改善の基本戦略は❝〇〇❞

今回のお題は、拘縮・筋過活動と痙縮の因果関係とその対処についてです。

 

そもそも拘縮とは、

関節を構成する軟部組織の変化によって起こる運動制限のことを言います。

一般的には関節の不動によって局所の血流が妨げられることで、関節腔内に線維素因が集まってしまった結果、癒着を起こし柔軟性が低下するという発生機序があります。

(安藤徳彦: 関節拘縮の発生機序. リハビリテーション基礎医学(上田 敏・他編), 2版, 医学書院, p213-222, 1994)

 

したがって拘縮の治療方針は、発生の元を断つために関節の不動を予防し関節への血流を良好に保つこと、となります。つまり「積極的に使う」ことが治療方法となのです。

 

では、筋の過活動についてはどうでしょうか。

前回の記事で筋過活動は、中枢神経損傷後の再配列によって、筋肉が伸ばされることに対する収縮反応が過敏になった状態だと説明しましたが、これは神経‐筋という運動単位を脳が十分にコントロールできていない状態に陥っているとも言えます。

コントロール下に置かれていないのであれば、治療方針としては、脳-神経-筋の結びつきを強める(促通)ことを積極的に求めていくこと。

やはり、筋過活動の場合も同様に「積極的に使う」ことが大事と言えます。

 

 

積極的なトレーニングが解決策だと言うと、ちょっとした懸念を生むかもしれません。

と言うのも、脳卒中のリハにおいて、現場で未だに広く信じられている誤解があるのです。

それは❝筋力増強訓練は痙縮を増悪させる❞というもので、痙縮の発生機序などの研究報告からすると、高強度抵抗運動は痙縮を増悪させることなく筋力低下の改善に効果があるとされ、この懸念は間違った認識であることが示されています。

 

ただ個人的な見解として、痙縮を悪化させないために運動強度の設定は慎重であるべきだと思っています。過剰な努力はやはり全身の筋肉の緊張を高める傾向が経験として確かにあります。

例えば、腕相撲で強い相手との勝負に打ち勝とうとした時、力を入れるのは腕だけで済むでしょうか?ほとんどの方は全身の力を使って何とか勝利を得ようとすると思います。

トレーニングの強度としては、目的とする関節運動が選択的に起こせる程度までに留め、どこの力を使っているのかをきちんと意識して行うことが大切です。

 

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