肩の亜脱臼問題

脳卒中によって生じる腕の問題は多く、肩の亜脱臼、痛み・痺れ、細かい運動ができない、力が入らない、といったことが代表例です。

 

肩の亜脱臼は,非外傷性に肩甲骨に対して上腕骨が転位したもので、下方へずれて位置していることが多く、脳卒中後の片麻痺に17~81%の頻度でみられると言われています。

(Paci M et al:Glenohumeral subluxation in hemiplegia:An overview.  J Rehabil Res Dev 42 : 557-568, 2005.)

 

上の写真は、左肩に軽度の亜脱臼のある男性を左後ろから撮影したものです。

亜脱臼の確認方法は、↓の部分に溝があること。もしわかりにくい場合は左右を比べて判断しましょう。

 

肩関節は肩甲骨のカップ状の受け皿に対してボール型の上腕骨の先端がはまる球関節となっていますが、ボールに対して受け皿が小さく、各方向への動きの自由度が高い反面,関節の安定性は関節周囲の筋や靱帯によって保たれています。脳卒中の運動麻痺の一種である弛緩性麻痺が肩関節周囲の筋に生じると、上腕骨を引き上げ肩甲骨のカップに押し付けて固定する筋群(棘下筋*,三角筋)が弛緩することで、腕の重みにより下方に引っ張られ、靱帯が伸長され,肩関節の亜脱臼が生じてしまいます。  

腕の麻痺が重度の場合に肩関節亜脱臼の頻度が高くなるようです。

*従来、棘上筋が原因と言われましたが、最近では棘下筋の関与が問題視されています。

 

 

肩については、粗大に扱うと炎症を起こす危険が高く、愛護的な管理を基本としています。一般的にひじ掛けやアームスリングによって腕の重みを軽減する方法、外転枕で脇を少し開いた肢位を保持して腕の位置を整復する方法がとられます。

 

ただし愛護的な管理だけでは、重傷者の肩の亜脱臼は改善しません。

 

なぜなら片麻痺の肩亜脱臼の元の原因は、

筋肉が緩んでしまって肩の安定が失われることにあるので、

トレーニングで肩の筋肉の緊張感を取り戻す必要があります。

 

(事例紹介)

現在、脳卒中慢性期となった女性の肩をみせて頂いていますが、1横指弱あった肩の亜脱臼が、Ex.後という条件付きではありますが、溝がなくなるまでに改善されました。最近では改善に伴い、継続して筋肉の張りを高めつつ、腕の重さに打ち勝つ運動を漸増的に取り入れています。

これからも努力されてるクライアントさんが報われるよう、最大限支援していきます。

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