だから助けたい。

ある日、居酒屋で出会った青年

 

ただ近くの席にいたという理由で、初めは雑談程度に話をしていた。

 

彼は就職活動中のごく普通の大学生で

悩みといえば、

 

自分はどんなことに興味があるのか、何がしたいのか、自分の長所を活かせることなどについて

 

頭を捻っているという程度のよう、

 

 

 

に見えた。

話の流れで、私がリハビリ業務に携わっていると知り、

 

実は、、とおもむろに彼は話し始めた。

 

「父親が脳梗塞になったんです。」

 

まだまだ若い40代後半にもかかわらず、代表的な生活習慣病をもち、

 

最近発症したばかりで、

 

半身に感覚障害があり、運動麻痺も少しあるようなのだとか。

 

今はなんとか仕事に復帰し始めているが、

 

通勤ではこれまでのように自転車には乗れないし、

 

歩くには歩けるが、健常者の2倍は時間がかかる

 

家族が端から見ている以上に、

 

本人はふらついている感じや身体の重さを感じている。

 

布団を敷いたりしているときに倒れてしまうほどなのでまだ転倒リスクは否めない。

 

また眩暈もふらつきの原因になっているらしい。

 

「家族として父親に何かできることはないだろうか?」

と彼は息子として父親にできることを模索しており、

 

“早く寝なよ”とか“塩分をとりすぎないでね”といったような

 

身体の健康を気遣う声掛けはするが、月並みなことしかできていないと感じるのか

 

「もっとできることはないか」という想いが強い。

 

心優しい彼はいくつも質問を投げかけてくれた。

 

「病気をしてマイナス思考になったけれど皆そうなのですか?」

 

「どう接したらいいですか?」

 

「リハビリってどんなことをするんですか?」

 

「同じような世代でリハビリを受けている人はいますか?」

 

「こういう人ってどれくらい良くなりますか?」

 

「介護保険ってどんなの?

 

「仕事の後の時間でも対応してくれるの?」

 

「リハビリって1回いくらくらいしますか?」

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話を聞いていると、

 

無鉄砲で頑固な性格だけれど、家族を養おうと懸命に働き、

 

優しく家族と接してきたお父さんなんだろうなと容易に想像できた。

病気を患った方はもちろん辛い経験だし、

 

乗り越えたいと求める限り全力で支援するのだが、

 

その方を愛して、心配して、励まして、支えてくれる人が周りにいると思うと

 

1人でも多くの方が病気を克服して一歩前に踏み出せるよう支援するという

 

活動の意味はとてつもなく大きいことを感じた。

 

 

 

 

 

 

 

この時は少しでも役に立てればと、知っていることや私なりの考えと対応策をお答えした。

その一部を載せておこうと思います。

・病気を起こすと誰もが落ちこみ、病気を否定し、病気と付き合っていかなければならないと理解するようになる。そんな中で一番近くに寄り添って辛さや苦しさを聞いてあげれるのは家族や近親者ではないだろうか。相手が父親なら、病気をしたからといってこれまで培ってきた威厳を捨てさせるような弱者としての扱いは間違いだと思う。人がその人らしくある状態を精神的に支えることは、家族が最も深く取り組める支援の形であると私は考えている。

 

・身体をトレーニングするうえで、運動の専門家を指導者・相談役として立てておくことは非常に有効。家族や親類が指導者では甘えが出てしまいがちだけれど、他人なら多少の強制力がある。「指導されているようだけれど、知らず知らずのうちに自分で自分の回復に努力している」くらいが丁度いい。

 

・運動麻痺が弛緩性麻痺のような重度ではなく、筋力発揮が調整できて重力に抗せてきているのであれば完全に近い回復の見込みは十分にある。少なくともその神経の連絡は筋肉に届いているのだから。発症後6か月という回復時期を過ぎたからといって諦めるのはまだ早い。

 

・数か月経っても無くならない痺れは後遺症となる場合がほとんど。

 

・リハビリは通常はオーダーメイドであり、同じ現象を観察したときに焦点を当てる問題点は、良くも悪くも指導者によって異なることがある。 

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